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著作権の中でも一番お世話になったことがある権利として、貸与権があります。誰でも、子供の頃から現在でも、図書館で本を借りたことがあるでしょう。現在ではレンタルCDやDVDを利用する人も多いのではないでしょうか。それらには著作権がついていますね。貸し出すことについてはどんな権利があるのでしょうか。

貸与権を知る

貸与権は著作権法第二十六条の三で規定されている著作財産権です。第二十六条の三では「著作者は、その著作物(映画の著作物を除く)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物を除く)の貸与により、公衆に提供する権利を専有する」(『社団法人著作権情報センター』 http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#021より)と明記されています。著作権を持つ者に無断で権利がついている物を貸与することはできないというものです。

どんなものに貸与権がついている?

それではどんなものに貸与権がついているのでしょうか。身近なものから紹介していきましょう。

出版物(書籍・雑誌)の貸与権

出版物の貸与権

日本には古くから貸し本屋なるものがあり、各地域でも小さな規模から大きな規模までの図書館などがあります。小説家や漫画家などは、本となった自分の作品を購入してもらい、著作権として売れた金額の数割が収入となって入る仕組みになっています。ですが、貸本屋や図書館で数多くの人々に自分の本を読んでもらっても、著作権を無視し、一円にもなりませんでした。これまで書籍や雑誌には貸与権がなかったからなのです。著作権法の改正により、平成17年より書籍や雑誌にも貸与権がつくことになりました。大手のレンタルショップやマンガ喫茶が急激に増えたのにもかかわらず、そこに著作権が発生しないのはおかしいということからです。デンマークでは日本よりもはるかに早い、1946年には図書館の書籍等に対して貸与権を制定しています。これに比べると、日本での対応は何十年も遅れているということになります。図書館の貸与権を制定している国では、公共貸与権として国家の基金から著作者に対して保証金が支払われています。

レンタルビデオ・DVD

レンタルビデオ・DVDの貸与権

レンタルビデオやDVDを利用している人は多いでしょう。音楽CDのレンタルもそうですが、これにも貸与権がついています。映画や音楽を作るのには多くの人の労力が注ぎ込まれています。映画の制作会社や音楽の作詞家、作曲家などがその著作権を持っています。カラオケなどに著作権使用料が払われていることは誰もが知っていることですね。貸与権とはちょっとズレますが、大物演歌歌手が自分の持ち歌に、語りを入れてしまったことで作詞家の先生と揉めまくった事件もありましたね。

貸与権を侵害すると

貸与権を侵害するとどのような罰則があるのでしょうか。平成17年に、著作権の侵害に対しての罰則が強化されました。強化されたということは、それだけ著作権の侵害が多く、問題視されているということでしょうか。罰則の強化が、著作権法第百十九条~百二十四条により、例として懲役3年以下だったものが5年以下に、罰金刑300万以下だったものが500万以下になりました。懲役刑と罰金刑を併せて受けることになるのです。インターネットの普及で、著作権の侵害も後を絶たない状況です。こうして罰則を強化するのもインターネットの影響もあるのかもしれません。

出版物貸与権管理センター

出版物貸与権管理センター

貸本、いわゆるレンタルブックの管理をしているセンターで、これから新たにレンタルブックショップを始める場合は、この出版物貸与管理センターに登録が必要になります。指定された代理店から商品を仕入れ、貸与使用料を支払うシステムになっています。新刊のものは貸与準備期間が1ヶ月設けられ、それを経過してからの貸し出しということになります。センターと契約を済ませた店舗で、センターを始め、いくつかの団体が運営する機関に加盟すると「レンタルブック登録店の証」と書かれた青いステッカーが、加盟していない店舗には黄色いステッカーが供与されます。貸し出される本には、「レンタル本・出版物貸与権管理センター」と書かれた丸いシールを貼らなければいけません。