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つい一昔前までパソコンは「電算化された一流企業が使うもの」「根暗なマニアが使うもの」というイメージがありました。しかし、1995年のウィンドウズ95の発売によってそのイメージは大きく様変わりすることになりました。世界を繋ぐインターネットの普及、パソコン本体の価格の下落などによって、パソコンは高嶺の花から一般家電として一気に普及していったのです。そんなパソコンになくてはならないソフトウェアもまた、知的財産権が取りざたされるようになってきたのです。

ソフトウェア特許を知る

「ソフトウェア特許」と言う単語は、あまり日常生活で馴染みの無い言葉ですが知的財産権の世界では高い注目を浴びているのです。インターネットの普及や、性能向上・価格下落などで加速的に普及したパソコンは、電源とソフトウェアがなければただの箱同然なのです。ソフトウェア特許は、パソコンなどで動作するソフトウェアを守るための知的財産権なのです。

ソフトウェアとハードウェア

パソコンなどのコンピューターは専門用語では「ハードウェア」と呼ばれます。ハードには「硬い」という意味がありますが、「ハードウェア」はコンピューターなどの物理的なシステム構造を指し示しています。ハードウェアを判りやすく置き換えると、そろばん算における「そろばん」の役目を持っています。そろばんが有っても計算方法がわからなければそろばんは計算器具としての役割を果たせません。つまり、「そろばんを使った計算方法」がソフトウェアの役目なのです。

ソフトウェアの重要性

ソフトウェアは、パソコンにはなくてはならないものとなっています。インターネットに接続してウェブサイトを見るのにはブラウザソフトが必要ですし、表計算や文書作成を行うにはビジネス用のソフトが必要です。音楽を聴くにしてもメディアプレイヤーソフトが必要ですし、ゲームを遊ぶにもゲームソフトが必要です。そして、これらのソフトウェアを使うには、OSソフトがパソコンに導入されていなければなりません。このように、現代のパソコンとソフトウェアはあざなえる縄のように離すことの出来ない関係なのです。

ソフトウェア特許を巡る動き

これほどまでに重要なソフトウェアを守るソフトウェア特許ですが、ごく最近になって概念が成立した権利であるだけに取り扱いが難しいのが現状のようです。

日本におけるソフトウェア特許

日本ではIT大国宣言や知的財産戦略大綱などで、ソフトウェアに関連する知的財産権の成立が必要不可欠であるとしながらも、全てのソフトウェアに特許権が成立するわけではないようです。まず、一般の特許権は「自然法則を利用した発明に与えられる」としている為、プログラム言語で構築されたソフトウェアを保護の対象に出来ないのです。その為、2002年の特許法改正によって時代に即した「ソフトウェア特許」への道筋が作られたのでした。しかし、ソフトウェア特許が認められるケースはソフトウェアの内容よりも、ソフトウェアのシステム上構造に比重が置かれていることが前提となっているようです。

ソフトウェアの権利を守る知的財産権とは

では、特許法改正以前と以後においてソフトウェアの権利を守るためにどのような知的財産権が活用されているのでしょうか。それは主に「著作権」が活用されています。著作権は産業財産権の保護対象にならないもののほとんどを保護することが出来る知的財産権です。ソフトウェアを対象にした知的財産権問題のほとんどは、著作権法違反で対処されていることもあって「著作権で守られているのだから今更ソフトウェア特許は必要ない」と考えるソフトウェア作家も多いようです。

ソフトウェアはFREEであるべきか

また、ソフトウェアの知的財産権を巡る動きの中に「フリーソフトウェア運動」「GNUプロジェクト」「オープンソース」などがあります。これらは、コンピューターをこよなく愛する人たちの中から生まれた運動なのです。

権利とソフトウェアの関係

フリーソフトウェア運動を行う人たちの言によれば、「ソフトウェアを知的財産権で保護することはソフトウェアの発展を阻害することに繋がる」というのです。しかし、それはソフトウェアの著作権を守らなくても良いということではありません。ソフトウェアをより使いやすくするアイデアを出せる人は出してソフトウェアを発展させ、ソフトウェアに感銘を受けた人はソフトウェアを他の人に再配布して広めても良いという、知的財産権的な立場からすれば少々戸惑いを覚える内容といえます。フリーソフトウェア運動に関連する、オープンソースに基づいて発展したソフトウェアとして知られているのがOSソフトのLinuxなのです。

ソフトウェアに本当に必要な権利

しかし、フリーソフトウェアの概念だけが一人歩きして「全てのソフトウェアはフリー(「自由」ではなく「無料」)である」と取られた場合、フリーソフトウェアの掲げる理念が届かない危険性をはらんでいると指摘されています。フリーソフトウェアの概念を正しく伝える為にはソフトウェア特許の法整備だけでなく、ソフトウェア実用新案の必要性を考えていかなければならないのかもしれません。