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知的財産権は、私たちの出したアイデアの産物を守り適正な運用を行うためには不可欠の権利と言えます。では、どのようなものが知的財産権で保護されていくのでしょうか?

知的財産を知る!

知的財産は、「知的財産権で守られるアイデアの産物」の総称です。知的財産権は無形のものを保護する役割を持っているため、知的財産とされるものは有形無形を問いません。

知的財産とされるもの

知的財産として扱われるものは、知的財産権基本法と連動する法律で権利を保護されているもの全てが包括されています。

産業財産権

産業財産権

■特許
特許として認められるのは、「新技術を用いて今までに存在していなかった社会的に有用であると認められる産物」になります。 ■実用新案
実用新案は、「特許の産物などにおいて、新発想によって改善したもの」とされている為、個人でも割合簡単に取得できる知的財産権です。
■商標
商標とは商品名やブランドなどの出所である企業をはっきりさせる為の知的財産権です。ヒット商品に似たような名前の後発商品を出すことは商標権の侵害と看做されます。
■意匠
意匠はデザインを保護する知的財産権ですが、意匠権で保護されるデザインは「工業的に量産できる」工業的デザイン(インダストリアルデザイン)に限定されます。

著作権

著作権

著作権において保護されている知的財産は、書籍・音楽・映画などの芸術分野のものがほとんどです。著作権は、100年前に概念が定義されるようになった新しい知的財産権で、100年前にはなかったテレビゲームやコンピュータープログラムなども含むようになっています。

回路配置利用権

回路配置利用権

回路配置利用権で保護される半導体集積回路は、コンピューターの性能を決定する心臓部です。半導体集積回路にはミクロン単位での設計・開発が行われている、まさに技術のダイヤモンドです。

育成者権

育成者権

植物の種や苗の品種改良は、大変な手間が掛かる工程です。狙った性質が強く発現する新種を作る為に種の選別と交配を繰り返すため、知的財産としても農作物としても高い価値を持っているのです。

商号権

商号権

会社の名前と言うものは、いわば看板です。一流企業の名前を使った企業による不誠実な取引を禁止する目的で、商号は会社法と商業登記法で管理されます。商号もまた、知的財産として信頼を受けているのです。

知的財産の意味を知る

知的財産は、私たちの日常を取り巻いているもの全てがそうであると言えます。つまり、知的財産とは私たちの生活の全てに関わるものなのです。知的財産を知的財産権で守ることは、私たちの生活を支えるものの品質を安定させる役割を持っています。知的財産権がなければ、安価で品質の良くないコピー品にとって代わられるのが目に見えているからです。それに加え、オリジナルの生産者はコピー品によって経済競争力を失い技術発展などが成されなくなる恐れもあるのです。

知的財産に関わる資格

知的財産権に関する資格として有名なのが「弁理士」です。弁理士は別名「特許の弁護士」と言われ、産業財産権一般における出願手続きの代行や産業財産権を介する契約の仲介や代理を行うことが出来る、知的財産権のエキスパートと言えます。しかも、弁理士になれば行政書士になる資格も付いてくるのです。しかし、その別名の通り弁理士になるには法科知識に加え理系知識を必要とするため志望者は多くても合格者はそう多いというわけではないのです。

知的財産権のための新資格

今までは弁理士のみが知的財産権に関連する事案を扱ってきたのですが、知的財産権がらみの案件数に対する弁理士の不足が大きいので、政府は知的財産権保護の整備を行うと同時に新しい資格の創設を行いました。その結果、生まれたのが「知的財産検定」「パテントワークマスター」「ビジネス著作権検定」の三つの資格です。

知的財産検定とは?

知的財産検定は、2004年から始まった公的資格の検定試験です。公的の資格検定試験なので、合格したからといって弁理士のような活動が出来るわけではないのですが知的財産権についての知識をどの程度有しているかと言う目安になります。

パテントワークマスターとは?

パテントワークマスターは、日本パテントワーク協会が行っているビジネスキャリア制度におけるスキルの一つで、知的財産権に関する業務能力を測る資格です。キャリアアップを図るサラリーマンにとって今後欠かせない資格になる可能性が高いといえます。

ビジネス著作権検定とは?

ビジネス著作権検定は、著作権に関する基礎知識と現場における判断などの応用力を測る検定試験です。コンテンツ産業の発達に伴い、著作権への認識が必要とされる今日において大きなウェイトを占めるであろう資格と言えます。

知的財産権関連の資格の意味

これらの資格を取得しても、代弁活動(弁護士・弁理士などの特定資格の必要な業務を無資格者が行うこと)が出来るというわけではありません。弁理士試験の腕試しや弁理士と提携した活動をスムーズに行う為のものとして考えておいた方が良いでしょう。これらの資格が新設されたのは、知的財産権の比重が大きくなっていったことがあります。

なぜ知的財産がクローズアップされたのか

知的財産権に関連する資格が次々に創設されたのは、知的財産への注目が強くなったことが挙げられます。では、どのような理由があって知的財産への注目が強まったのでしょうか?

コンテンツ産業と知的財産の関係
コンテンツ産業と知的財産の関係

「日本の産業で世界に通用するのは車とマンガ」と言われたこともあるように、これからはマンガ・アニメ・ゲームなどの『コンテンツ産業』が最大の輸出品になると考えられています。コンテンツ産業は、アメリカと日本発信のものが世界的に受け入れられていて、それに韓国やフランスなどが続く形になっています。コンテンツ産業で生産されるコンテンツは、基本的に複製が可能なものがほとんどです。マンガは言うに及ばず、アニメ・映画・ゲームなどは供給メディアがデジタル化したこともあってコピーしやすくなっています。これが、知的財産権を見直す切掛けに繋がったのです。

無秩序なコピーの氾濫が知的財産を見直した

インターネットが普及するまでは、パソコンを使ったコンテンツのコピーはごく限られた小数の人が行うグレーゾーンの趣味でした。インターネットの普及と、パソコンの性能向上は、コンテンツの不正コピーをも普及させることとなりました。その一つが「ナップスター」です。デジタル化した音楽のファイルをネット上で交換するこのソフトは、アメリカの音楽業界において様々な波紋を生み出しました。これが日本における知的財産権の見直しの鏑矢となったのです。

オフラインでのコピー氾濫
オフラインでのコピー氾濫

また、東南アジアなどでは日本やアメリカのゲームやアニメ、テレビ番組などがコピーされ海賊版として激安値で販売されていることが知られています。あるゲーム会社の幹部が視察に訪れた折、「こんな値段で売ってるところに正規価格で乗り込んでも商売にならん」と嘆いた話や、クリントン前大統領が視察して激怒した話などが伝わるほどに海賊版はコンテンツ産業に深刻な問題を与えています。

コンテンツ産業が知的財産権を守る理由

では知的財産権が正しく保護されていることで、どのような利益が生じるのでしょうか。コンテンツが不正コピーされることなく正しく管理され、市場で消費されることによって製作者に売り上げが還元されます。還元された売り上げは、製作者のモチベーションを維持すると同時にコンテンツ発信を担当する出版社などの活動を助け、新しいコンテンツの発進を促進します。つまり、コンテンツ産業は循環型の市場を持っているので知的財産権を守ることが最大の使命でもあるのです。